人を見捨てない国、スウェーデン (岩波ジュニア新書)

ジュニア本と称するからだろうか？とにかく、良いことしか書いていない。とにかく無料だ！いっぱいタダだ。お金が支給される！人を見捨てない社会だ。実態はけっこう厳しいということを伺わせる記述も多いことは多い。しかし、深みがないという問題はあります。若者の失業率が高い。だから、起業する人が多いとのことですが、支援の体制がわからない。失業したときにお金が出る、素晴らしい！という割には定年が６５歳に伸びたので、みんな仕事している。最近は６７歳まで伸びる傾向がある。これを肯定している感があるのは、日本の定年制度との差異がけっこうはっきりしているように思います。離婚の時に精神的慰謝料がない。養育費は支払う契約を結ぶが月に１万５千円をした回る場合には、国が補助する。正直、はぁ？という感もします。人を見捨てないという割には、何ともみみっちぃ。税金のことはしっかり書かれてはいます。ただ、所得の２８～６２％も税納したら、そりゃ、みなさん、要求するでしょ、政治に。児童手当は一人１万２６００円とのこと。非課税とのことですが、それは、日本も同じ。病院にかかるには、時間と手間暇がかかる。日本のように、受診したら、すぐ診てもらうということはない。おもしろいのは、この著者の方は、日本の方が、スウェーデンより税金がかかったとのこと。スウェーデンでは５００万円の収入でかかる税金が２８％でありますが、日本でこの税金と同じくらいの税額がかかるというのは、１８００万円クラスということ。こんなに高い収入で、高税率でなかったら、すごい安い税金と思わないといけないでしょって、突っ込みを入れたくはなります。それはさておき、スウェーデンも、いろいろ政策を打っており、見かけ上のすばらしさをみなさん、力強く訴えていますが、実態はなかなか厳しいということがよくわかる、良書といえると思いますので、星５つをつけました。