愛と怖れ―愛は怖れをサバ折りにする。

セックスについての本は世の中にたくさんあります。恋についての本も世の中にたくさんあります。しかし、愛について語る本は世の中にあまりないのではないでしょうか。特に宗教のような、大きなものの考え方が抜け落ちてしまっている日本では特にそういう傾向が強いと思います。恋が愛に変わるとき、多くの人は葛藤を覚えると思いますが、そこでぶつかるものは実は相手や状況ではなくて、自分自身のトラウマだったりします。そのトラウマにどう対処するかが、愛する相手と本当の信頼関係を作れるかどうかに大きな影響を持ちますが、多くの心理学的な対処法の場合、過去のトラウマに向きあうこと（直面化）を伴うので、とても痛みが大きかったりします。しかし、この本はそういうアプローチを取らず、実際に自分が愛を得るにはどうすればいいか、愛を得るということはどういうことか、ということをとてもわかりやすく伝えてくれるため、そうした痛みを伴うことなく、自分をゆっくり見つめることができます。これは素晴らしいことだと思います。とても重要なことが書いてありますし、普段の日本の世俗的な文化では出会わない言葉が多いので、咀嚼には時間が掛かるかもしれませんが、確実に一読に値しますし、読んだ時には理解できなくても、その後の人生経験に生きることがあるのではないかと思います。タイトルの奇抜さを気に入って手に取りましたが、自分に必要なことを教えてくれる、本当にいい本でした。出会いに感謝します。より良い人生を過ごしたい人にはとてもお勧めです。