歯科技工 別冊 審美歯科技工の探求 オールセラミックス時代の多色築盛テクニック

この本は、情報量の多いとても充実した内容になっています。part1で著者の感じているオールセラミックスの問題点と多色築盛の必要性をわかりやすい資料と写真で解説してあります。私が日頃臨床で感じている違和感を的確な文章で表現してあり、理解が深まりました。part2では同一症例で各メーカーのシステムの特徴や築盛方法がわかりやすく紹介してあります。自分の使っているシステムを再認識することも出来るし、他社のものに移行しようと考えている人もとても参考になると思います。part3では国内外で活躍されてる先生方の、臨床での多色築盛法をさまざまなアプローチで紹介してあり、「まさに職人芸！」何度でも読み返したくなる内容になっています。オールセラミックスを簡便化することにより、生産性の向上や品質規格化（低いところで）がやりやすくなったのですが、それに伴い新しい技術を知るワクワク感や技術が向上する面白さという大事なものを失ってしまった様に感じています。最近の若い世代がセラミストに憧れない原因のひとつかもしれません。私（５０代）が若い頃は、月刊歯科技工やQDTが来るのを毎月楽しみにして、そこに紹介してある新技法を自分のものにしようと、時には寝食忘れて趣味的没入感で頑張っていたことを思い出しました。技工士はやりがいのあるとても面白い仕事だということを若い世代に伝えて、一緒になって生活向上を目指したいと痛感しています。